第7章 サンジ君(DNH企画)
黙って下を向いていれば、サンジ君が朗らかな声を出した。
「反応が可愛ィぜ、花奏ちゃんって。今日は電気付けてやらねェか?いつも真っ暗で、何も見えねェから、面白くねェんだ」
目が優しく笑っていた。
私は緊張して心臓が忙しなく脈を打っている。
言わなきゃ。ちゃんと言わなきゃ。そうじゃないと、私は本当にサンジ君を好きになってしまう。サンジ君にいつまでも甘えちゃいけない。
頭を触って撫でてくれている手を、私は優しく掴んで、サンジ君の膝の上に戻した。
「あのね、私……。もう失恋から立ち直ってるの。あの時は、もうどん底で、誰でも良いってわけじゃ無かったけど、慰めて欲しかったの。だけど、もう……」
「……………もう?」
「……大丈夫だから。心配しないで。しなくて良い。お願い聞いてくれて、ありがとう」
言い切ったあと、無音の時間が流れた。サンジ君は、黙ってしまって、また素面の顔になっていた。
素面というより、怒っている。口を一文字にして、眉を潜めて、目をじっと見つめている。サンジ君はむぅと膨れた顔をしていた。