第7章 サンジ君(DNH企画)
「花奏ちゃん、悪ィけど、脱いで良いか?ビチャビチャで気持ち悪いんだ。ハンガーを貸してくれねェか?」照れたような顔をして、壁にかかるハンガーを指差した。
「そうだよね、ごめんなさい、気がつかなくて、はい。サンジ君使って」
私はサンジ君にハンガーを手渡しした。頭を拭いていたタオルを机の上に置いて、カッターシャツのボタンを、上から軽やかに外し始めた。
「っ!!…う、あ、ちょ、ちょ……」
いきなり恥ずかしがりもせずに、涼しい顔をして脱いでしまうサンジ君。私は流石に照れてしまって、顔を横にして、目線を逸らしていた。
でも、一瞬だけ見えた。真っ暗な部屋でいつもセックスをしているから、ちゃんと見た事が無かった。
鍛え抜かれた筋肉。縦と横に割れた引き締まった腹筋。男らしい裸体。気づかれないように、横目で見入ってしまっていた。
すると、いきなり顔を上げるサンジ君。
「っ!!」
ばっちり視線が合致して、私は赤らめた顔をサンジ君に披露していた。
「顔が赤ぃぜ?ああ、オレとする時は、いつも真っ暗だからかい?こんな明るい場所じゃしねェもんな」
サンジ君はすこし笑って、ハンガーに濡れたカッターシャツをかけて、壁のフックに引っかけた。
上半身裸のままで私の隣に座り、ニッコリ微笑む。心臓が飛び跳ねて、鼓動が早くなっていく。
顔が真っ赤っかで、恥ずかしい。ダメだ。
サンジ君がそばにいると決心がぶれちゃう。
今日も流されてやってしまう。サンジ君は、優しく私を慰めてくれているだけ。電気を消してから、して欲しいって言ったのは、私から。
失恋したばかりだったから、サンジ君に元彼を重ねて交わりを行なっていた。
本当に最低。
自分から言っておいて、慰めてもらって
愛が欲しいだなんて……。
自分を自重気味に、
頭で虚しく笑った。