第7章 サンジ君(DNH企画)
「……花奏ちゃん?どうした?固まってるぜ?」
サンジ君は覗き込むように屈んで見つめる。
「あはは。言う言葉忘れちゃった。とりあえず、こっちに座って?」
「ああ、ありがとう」
革靴をコツコツと歩く、長身で細身の後ろ姿を、私は見上げながら、元のベッドの上に腰掛けた。
サンジ君は、勉強机の椅子に座る。私の方に身体を向けて、頭をタオルで拭いている。この席で私は医学をよく勉強している。
ふと肩の部分を見た。群青色のストライプが入ったカッターシャツが濡れて肌に張り付いている。
これじゃあ、いくら何でも風邪をひいてしまう。上を脱いで今すぐ干した方が良い。だけど私はサンジ君の上着を持っていない。
上半身裸ってわけには流石に……。
でも……。
ずっと頭の中で思案を巡らせていれば、サンジ君の少し困ったような声が聞こえてきた。