第6章 我愛羅さま
「あとはお2人で……」
と、余計な気遣いをする六代目。
少し困った表情を浮かべる我愛羅さまと、しっかりリードされるモミジ様。
初々しく街に出かけるために外へ出て行ってしまった。
部屋の窓から見ていれば、お2人が並んで歩いて行く。
上の窓からひたすら眼力を飛ばす。
近すぎ〜もっと離れて歩いてよぉ!
頭の中でひたすら叫んでいた。
六代目は、のほほんとお茶を飲んでいる。
「オレやっぱいらなかったじゃねーすか」
シカマルは火影様に呟く。
「いや、何があるか分からないでしょ?念には念をね。ま、戻ってくるまで寝てて良いよ」
「んじゃ、そーさせてもらいます」
と言って机の上で腕をおでこに乗せて寝てしまった。
静寂な時間が流れる。
すると、火影様が私に話しかけてきた。
「花奏ちゃん、今日はえらいご機嫌斜めじゃない。どうかした?」
席に座って聞いてくるカカシ様。私は窓から身体を離し、席に着く。
ーー己れのせいだっての。
「そうですか?そんな事、御座いませんよ。然し、どこから見つけて来られたのですか?あんな美女は中々いらっしゃいませんよ」
和かにお話をしているが、さっさと切り上げたい。適当に理由をつけて、我愛羅さまを兎に角追いかけたいのだから。
「ま、実はね、あの子本人の希望なのよ。我愛羅がずっと好きだったらしくてね。熱烈なラブコールを今頃受けていると思うよ」
「えっ…………」
顔が固まる。
一瞬息が止まるかと思った。
目を見開きカカシ様を見る視線をコップへとずらした。味のしないミルクティー。コップの中を見つめる。
「そ、そうなんですね。御本人様が、そんなに我愛羅さまがお好きなんですね。それはそれは……」
私は呟き、頭から冷水をぶっかけられた様な気分を感じている。
あんな美女が、我愛羅さまを好き?
ラブコール?
自分と比較して見てみた。
勝てる要素がない
勝ち目がなかった。