第6章 我愛羅さま
我愛羅さまは、真ん中に座り、私は右側に座る。
向かえ側は、真ん中が六代目。左側にお見合いの女性の方。反対側にシカマル様が座っている。
私の目の前に美女がいる。
話の冒頭を切り出したのは、六代目からであった。
「いやー、我愛羅、久しぶりだねー。前に会った時から4ヶ月ぐらい経ったかな?このような見合いの場を作ってもらって、この子も喜んでいるよ」
六代目が頭に手を置いて、笑顔を見せる。元凶はこの男……と私は静かに睨んでいた。
我愛羅さまが、声を出す。
「ああ、オレもいい歳になってきた。見合いなどするつもりは無かったが、まぁ一度ぐらいは…と思い至った。砂漠の我愛羅だ。一日、よろしく頼む」
「はい。上忍で名はモミジと言います。風影様とは、すれ違うだけでお話した事はございませんでした。今日、本当に楽しみで昨晩は一睡も眠れませんでした。宜しくお願いします」
モミジさんは上品な笑みを浮かべて我愛羅さまと談笑を始める。
私も出来るだけ笑顔を作り頑張っていたが、すでに涙目だ。
この場をぶち壊したい。早く終わって欲しい。
美女は透き通る声を上げて、我愛羅さまに笑みを浮かべる。我愛羅さまも、ほんの少し笑う。
中々稀な我愛羅さまの笑顔……。
苦渋な顔を必死に隠して、
我愛羅さまのお姿を、私はただ見つめるしか方法はなかった。