第5章 シカマル 少甘
試験当日。
オレの周りにゃ、わらわらと人だかりが出来ている。
「シカマルが勉強してるってばよ!」ナルトが仰天した声を出す。
本当ーー、シカマル勉強ー?嘘〜、と、各々が訝しげに喋り出す。
「うるせーあっち行け!最後の追い込み中なんだからよ!」
蹴散らすように言えば、人で出来た輪が、瞬く間に飛んでいった。
机で参考書を広げ、めんどくせーーが暗記をしている。
ちらりと花奏を見た。
オレは口が少し綻ぶ。
「……もしかして、完徹じゃねーの?」
「ほっておいてよー、もうー、今話せないの、私真剣なんだから」
目の下にクマを作って頑張る花奏に瞳を細めた。
「フン、オレも徹夜漬けだっての。つーか、めちゃくちゃ眠いな。初めてしちまったよ、ここまでめんどくせーー事」
「……違うって、分かってるよね?ジュース、おやつ、とか、そんなんだからね?…………まだ無理だし」
「……けどよ、何か勘違いしてねーか?真面目に考え過ぎだっつーの」
「…………って言いながらシカマル今日は真面目に勉強してるじゃない」
「そりゃそうだろ。今回は真剣にやらなきゃ男じゃねー。生半可な気持ちでやるわけにゃいかねーからよ」
「……ああーもう、話しかけないで!」
顔を真っ赤にしながら勉強する花奏。
ーー照れてやんの、可愛いな…。
こっそり横目で見ながら、オレも最後の追い込みに励んだ。