第5章 シカマル 少甘
突然、話をまた始める。
「次のテストって、火の国総合学力試験だよ?覚えてた?」
「……あー、イルカ先生、ーーんな事言ってたな。全然やる気でねェよ」
そう呟くが、今日のオレはここで終わらねー。
「けどよ、花奏が身体を張ってくれるんだろ?あーーおもしれェ」オレは挑発するように笑う。
「…………そんな事しないわよ。てかシカマルやる気満々じゃん!嵐が来そうね」
本当は焦ってるくせに、誤魔化そうと視線を逸らす花奏。
ほっぺが真っ赤だ。逸らしてもバレてるって。
「へへ…お互いに頑張ろうぜ」
木箱に駒を全部しまい、花奏に将棋を返す。
「…………何でそんなに気合い入れてるのよ……」
ぶつくさ花奏は、言いながら席を立つ。
「あ、花奏、今日傘持って来てるか?」
「どうして?折り畳み傘はいつも鞄に入れてるよ」
「つーか、うろこ雲が見えてんだよ。雨が降りそうだから、早めに帰ろうぜ」
あ、本当だ、そうだねー、て笑みを浮かべて席に戻る。
相変わらず、丸椅子を足で引っ張っている。
ーーいや、往復しろよ
意外と横着なヤツだな。
そんな花奏の後ろ姿を、オレはぼぅと眺めていた。