第24章 サンジ君(DNH企画)7章の続き
「サンジ君……大好きだよ」
ベッドのなかで愛を呟けば、サンジ君も柔らかく微笑んだ。
「ああ、オレもだよ」
サンジ君の笑った顔が嬉しくて、幸せで。また、泣いてしまっていた。
情事のあと、サンジ君とホテルの窓から見える大海原をベッドから眺めていた。潮の香りが届く。暗い海の波が砂浜を削る音が聞こえる。柔らかな月の光が海に注いでいる。
「どうしたんだい? 花奏ちゃん、寝ねェのかい?」
ベッドのなかで、ふいに背中から抱きしめられて、わたしは首を振った。あたたかいサンジ君の体温を感じた。
「なんかね、寝たら、もったいない気がして」
天を仰ぐほど月が輝き星が煌めく。星空が美しい。だれにも邪魔されない今が幸せで。
「なんかさ、みんながいれば賑やかなのに、たまに騒ぎ過ぎて怒れてて、でも、欠ければ寂しいって感じるの」
ーー仲間って不思議だ。
「そうかい」
ククク……と笑いジワを作ったと思えば、ふいに、サンジ君が、わたしから離れた。
「花奏ちゃん、手ェ出してくんねーか?」
振り返って、わたしは言われた通りに手を差し出した。
「さっき別れたときに買ったんだ」
サンジ君は椅子に欠けたズボンのポケットをまさぐる。
「オレが、オールブルーって奇跡の海に行きてェって知ってんだろ?」
サンジ君が子供のような笑顔で、わたしにいっぱい話してくれた話だ。
わたしが頷くと、「コレ、もらってくれよ」と小さな小箱を取り出して、そのまま開けた。