第24章 サンジ君(DNH企画)7章の続き
「デートさ、してェんだろ? しようぜ、そんなムクれた顔しねぇでさ。 ホラ、顔を上げなよ、花奏ちゃん」
「……だってもう時間……」
「せっかくナミさんが時間をくれたんだぜ? 今日は帰らねェでいいってよ」
サンジ君のことばに、わたしは頭をあげて、見つめた。きょとんとした表情で。
「夕食の準備は? 明日の朝ご飯の準備は? 食器洗いや片付けだって、今夜は、わたしの番だよ?」
「オレが買い物してる時にナミさんに会ってな、ナミさんが『荷物を運ぶのを手伝ってくれたら、夕食の準備や片付けを皆でやる』って提案してくれたんだ。 もちろん、朝食もだ」
「……じゃあ」
「船の上じゃあ、ゆっくり過ごせねェから、ホテルでラブラブしたらいいって言われちまってな。 つい……照れちまったぜ」
ハハハって、サンジ君は
恥ずかしそうに、はにかんだ。
「オレのために着てくれたのかい? そのワンピース….…ありがとな」
サンジ君が甘い眼差しで、わたしを見ている。ひざまずいたまま。わたしの手を優しくにぎった。
「オレは……君がオレのために頑張ってドレスアップしてくれてぇ、凄く嬉しいって思ってんだぜ? いじらしくて……かわいい……ってな」
「……本当?」
「もちろんさ、花奏ちゃん、メシ食いに行かねェか? ここのさ、ご当地レストランに行きてェんだ。クソうめェメシ、いっしょに食おうぜ」
サンジ君がわたしの目尻をハンカチで優しくぬぐった。
わたしは「そ、そうだね」と涙で濡れた目で笑う。涙を拭いてくれたのに。
「まァ……、靴を買いに行かねェかかい? その靴じゃ、痛くて歩けねェだろ?」
「うん……うん」
わたしは、頷いてサンジ君の手を握り立ち上がった。サンジ君が優しく微笑んだ。歩くスピードをわたしに合わせて。
「ホラ、行こーぜ」
優しくエスコートしてくれる
腕が嬉しくて。
「うん……」
だから。だから。だから。
とめたいのに。
わたしは笑っていたのに
また、また、泣いてしまっていた。