第24章 サンジ君(DNH企画)7章の続き
「サンジ君…ごめん、帰ろう?もう夕ご飯の準備しなきゃ」
サンジ君を見れなくて背中を向けたまま伝えた。泣くな。目頭が熱くなるのを必死にこらえた。
「なァ、花奏ちゃん」
……。
ミュールを履いた足の踵が、赤く擦れている。いま気づいた。ああ、最悪だ……。
「もういいよ」
じんじんと痛み出す。気がつけば痛みが始まる。
長距離を歩いたせいで靴ずれだ。ミュールなんて履くんじゃなかった。ワンピースなんか着るんじゃなかった。
デートなんて、期待しなければ
よかった。
「ホラ、掴んでくれよ」
それから、突然だ。
わたしの腕をサンジ君が掴んだ。
「っ!?え、!?」
そのまま、
ふわりと宙に浮かぶ。
「…っ!?ちょ、サンジ君!」
サンジ君がお姫様抱っこで
わたしを軽々と抱き上げる。
「や、やめてよ!」
ばた足みたいに足を振って抵抗した。やだ、なんで急に!
「もう、デートなんて……!」
眉を寄せて、強く反感な目で見たのに、サンジ君はいつもと変わらない、落ち着いた視線だった。
「手ェ、オレの首に掴んでねェと落ちるぜ。それに足が痛むんだろ。足、揃えてねェと他の野郎に見えちまう。いいのかい?」
「うっ……」
すぐにスカートの端を引っ張った。サンジ君は「ほらな?」と口角を上げる。
「みえてないし!」
「ハハ…、そーかい」
くるりと踵を返して、そのままベンチにわたしを座らせた。サンジ君がわたしの目線に合わせて、ゆっくり、しゃがんだ。