第24章 サンジ君(DNH企画)7章の続き
「はっ!え?もう15分前!?」
腕時計を見ながら驚いた。
そうは言っても意外や意外、気がつけば、可愛い下着を買っていた。可愛いスカートも選んでいた。
気持ちが通じ合った日、卑猥な下着が大変お気に入りらしくて、毎回下着チェックが入る。
本当に困る。せめて清潔な物を。と、パステルカラーの淡いパープルの下着を買った。
お会計を足早に終わらせて駆け足で待ち合わせ場所にむかった。
噴水の前にベンチがある。そこで待ち合わせだ。人が行き交う。まだきていない。
腕時計を見た。4時20分。まだ10分前だ。いるわけない。
「ナンパしてんのかな…」
わたしは気になる。サンジ君が歩いて行った方向へ気づけば進んでいた。
「あ!サンジ……くん」
ふいに、黒のスーツ姿のサンジ君の背中を見つけて、声をかけようと思った。声を上げた。手を同時に上げたのに、わたしはゆっくり下ろした。
「ハハハ……かなわねーな、ナミさんには…」
サンジ君の笑う声が
聞こえる。
大量の荷物を手に持っている。頬を赤らめて歩くサンジ君。照れた姿で。
そしてナミもとなりで機嫌良く笑って歩いていた。
私が見ているのに、
まったく気づかない。
ふたりの背中が小さくなる。
メリー号の船の方向に
進むサンジ君とナミ。
まるでカップルのように
並んで歩く2人の姿を、わたしは、
目をそらせなかった。
わたしは
声を、かけれなかった。
もしかしたら、大きな声を上げれば気づいたのかもしれない。
でも。
わたしは見えなくなっても
声をかけなかった。
かけたく、なかった。
それから、待ち合わせ時間になってもサンジくんは戻ってこなかった。
サンジ君が戻ってきたのは、待ち合わせ時間から10分以上過ぎた、4時40分になっていた。