第24章 サンジ君(DNH企画)7章の続き
船に荷物を置いて、再度街に繰り出した時は、もう4時を回っていた。
でもでも!やっとこさデートの時間である。浮足立って歩き、さっきとは違う街を散策していた。
今回はショップやレストランやカフェが並ぶ。それから、バーや、ひ、卑猥なお店とか、パブとか、ホテルとか……
「ってなによーー!!こんな道を通らないでよーーー!」
真っ赤になって叫んだ。思わず足を止める。なんだここ!
「仕方ねェだろ? この道沿いはピンク街なんだからよ」
と言ったあとだ。
「は!!!見てくれよ、ほら!」
「え? なに? なにを発見したの?」
わたしはサンジの跳ねる声に、サンジ君のほうを見た。
「すっげーーびじん!!綺麗だ、なんて美しい…」
目が♡になって
クネクネしていた。
「……あーーどうでもいい!」
沸騰したヤカンみたいに苛立った。バカみたい!なんなの!
すると突然だ。
サンジ君が「あのさー」と言いにくそうな顔を浮かべている。
「30分ぐらいさ、自由時間にしねェかい? 互い見たい場所見てェだろ?」
「……ない!なんでデート始まった瞬間に別行動を取りたがるの!」
「いや、花奏ちゃんがいたら邪魔でナ……じゃねェくてーー。やりたい事出来ねェだろ?」
明後日の方向へ顔を向けて歯切れ悪く言うサンジ君。目が合うと誤魔化す。
まさか……ナンパ⁈
サンジ君は相変わらずだ。本当に私がいようがいまいが、まったく関係ないらしい。
はぁぁ……。
諦めを含んだ溜息を漏らした。
「わかったよ。じゃあ、この広場で30分後に、ここで待ち合わせね?」
「ああ、じゃあ後で……」
サンジ君と反対方向に別れる。わたしは長身の背中が、角に曲がって見えなくなるまで、見ていた。
どうして嬉しそうに
離れていくのか。
サンジ君が、
にくらしい
でもわたしは好きで。
惚れた弱みで。
バカみたいで……。