第24章 サンジ君(DNH企画)7章の続き
「…………えっ?!……でもデートするって!」
私が横を向いて、目をひん剥いて見つめれば、
サンジ君は、
声や肩を震わせ始めた。
「ふ、花奏ちゃん、必死すぎだろ」
とうとう吹き出して笑うサンジ君。
「だ、だって!もう時間ないし!」
「そうだな、急いで行こうぜ、悪ィ」て言って。
うう……もっと文句を言いたい。でもでも、顔が腑抜けた顔に変わる。口がふにゃりと柔らかくなる。
こんな朗らかな笑顔を見せられてしまったら、閉口して簡単に許しちゃう。顔が整ってるから、笑ったら破壊力が半端ないな……。
「サンジ君、今日は無理なら仕方ないけれど、今度は、ちゃんとデートしようね? 一緒にご飯食べたり、買い物したりしようね?」
少ししょんぼりした顔を浮かべて声を出した。
「ああ、良いよ、花奏ちゃん。ごめんな?」
サンジ君が足を止めて屈み、私に近づいてくる。
野菜が入った茶色の紙袋を、頭の高さまで持ってくる。よく分からずに見上げた。
少し陰が出来て、サンジ君の金髪の前髪が、私の目にかかる。
情事を誘う甘い夜の香りが、不意に近づき、暖かい手のひらが、わたしの頬に優しく触れた。
耳に入る。行き交う足音。活気溢れる街の声。
甘く啄むキスを、ふわりと落としたサンジ君は、躊躇うことなく、一気に舌を絡め始める。
「っ!……んっ……」
とろりと溶けていく不満やわだかまり。甘い口付け。ゆっくり唇を離して、間近で笑うサンジ君。
「すまねぇ、花奏ちゃん、許してくれよ」
「う、うん。もう、こんな所で……ダメだよ…」
恥ずかしくて照れた私のほっぺは、りんごみたいに真っ赤で、顔を下に向いて歩き出した。サンジ君をおいて。
くく……と笑ったサンジ君も背後からついてくる。
「サンジ君」
「ん? なんだい?」
「あのね、好き?」
「ん? 当たり前じゃねーか」
私はサンジ君の即答することばに、つい、笑みを浮かべていた。