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【NARUTO】他。短編集

第24章 サンジ君(DNH企画)7章の続き



「花奏ちゃーん、下にいるぜーー!」


船から見下ろせばサンジ君はすでにメリー号を降りていた。


「いま行くねーー!」

階段の方へ、笑みを浮かべながら足を運んだときだった。


「おい、花奏」


柱に持たれかかるゾロから急に声がかかる。剣士さんは船番だからお留守番担当で。


「ゾロ? あ、なにか買ってきて欲しいやつある? 今ならまだ間に合うよ!」

がーー、て寝息が聞こえていた。だから、そぉっと黙って行こうと思っていた。ゾロは起きていたようだ。



「あー酒だ。ビール大量に買ってこい。あとワインとウィスキーも飲みてェ。全部買って来いよ」

いや、親父か。

「ビ、ビールは、まだストックあったような……」

キッチンの冷蔵庫の中身を思い浮かべた。うん、結構入ってた……はず。

「あぁ?……買ってこい、花奏」

なんか不機嫌だ。
青筋を立てている。


「あ、あはは。了解ーー」


引きつりながら笑う私を、じろりと見つめた。服を。

「あ、変かな」

頑張った格好しているから、おかしいのかもしれない。

「だ、だめ?変?きょ、今日サンジ君とデートもするんだ……」

ストライプのミニスカートの端を伸ばしながら、声を出した。

やっぱりいつも履くジーパンの方が良かったかな。急に不安が膨らんだ。




「別に。良いんじゃね? そんな格好してたら、あんのエロコックが騒ぐぜ?」


「それはないよ。サンジ君はそんな騒いだりしないよ」


"わたしには"


その言葉は、言わなかった。みじめに感じるのは自分だから。

「じゃあ、いってきます」

手をふって、
階段を降りていく。

下にはサンジ君が待つ。

一段一段、降りるなかで
ウキウキした心がすり減っていく。

自分で言って自分で傷つく。

"愛してる"ってサンジ君は
言ってくれた。

言ってくれたよ。


ミュールを見ながら
階段を降りていて
改めて思い知らされる。




それだけじゃ、どうしても
満足出来ない自分がいた。



欲張りな自分を嗤った。





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