第18章 続き★サソリさん
「サ、ササソリさん!!?」
絶対ダメですよ?!
ストップ、ストップ!
私が間に入って停止を求めるのに、
サソリさんは止まらない。
私を軽く押しのけて前へ進んだ。
「おい、ガキ」
ひぃ…!
2歳ぐらいの男の子の前に
見下ろして立つ。
恐い……。顔に深い影が出来ている。気持ちが騒めく。
「起きろ」
サソリさんはゆっくり、身体を屈ませ、号泣する男の子の頭を触った。
「いつまで泣いてんだ。 走るから転ぶんだろ。 危ねえぞ」
頭を数回撫でたあと、男の子の脇に手を入れて、軽々と抱きかかえた。
「っ!」
びっくりして
男の子は目を見開く。男の子の顔は、鼻水やら涙でぐしゃぐしゃだ。
「男だろ。 さっさと泣きやめ。 お茶ならまた入れたらいいだろ。 腐るほどあそこにあるぞ」
抱っこをしながら、ドリンクバーを
サソリさんは指さした。
「う、……、ヒッ、ク……うう……」
男の子の涙は止まらない。
しゃっくりも出ている。
「泣くな、男は簡単に泣いてたら笑われるぞ。 これぐらい痛くねえだろ。かすり傷だ」
サソリさんは、机に転がったコップを手に取り 男の子に渡した。
「ほらよ、いくらでも入れてこい」
目を細めたサソリさんは、男の子を床に下ろし、優しく頭を撫でた。
「格好良い顔が台無しだ。 お前の母親ももう怒ってねえ」
男の子の背中を軽く押した。お母さんの足にぎゅっと絡みつく。
男の子は、母親の顔を見て、途端に満面の笑みに変わる。
「うん! ありがとう、お兄ちゃん!」
男の子は方向転換して、
ドリンクバーへ走っていった。