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【NARUTO】他。短編集

第2章 路地裏inイチャイチャ カカシ先生


「あと、三十分かぁ……」


誰もいない廃墟に囲まれた路地裏で、花奏は、ポーチに入れっぱなしの小さな時計へ目を移し渋面を作る。

徐々に彩度が落ちる景色を眺めれば、遠くの空は蜜柑色に輝きを放ちながらも、徐々に視界から消えてゆく。

沈む夕日に明るさが奪われる路地裏で、花奏はただ一人きり、時が過ぎ去るのをひたすら待っていた。

——タイムリミットは午後五時
——残り時間は、あと三十分

——逃げ切ればのわたしの勝ち、捕まればゲームオーバー

「あー、長いなぁ…」と自分の靴を見て呆けていると、不意に場違いな男が花奏に話しかけてきた。

「何をやってるわけ?お前今日休みでしょ?」

「っ!!??」

第七班の担当上忍はたけカカシ、通称カカシ先生が目の前にある塀の上で腰を下ろし、肘をついて疑問を投げかける。

突然の招かざる客に、生徒の花奏は、一切気配を感知出来なかった事に慌てふためき、心臓を激しく脈打たせつつ、小さく呟くように叫んだ。

「だめですって!カカシ先生、そこ目立ちますから、降りて降りて降りて!」

「何を慌ててるのよ、花奏」

「止めてよ、名前を言わないで!見つかっちゃうから!」

頬を赤くチークに染めて慌てる花奏が間抜けで滑稽に見えるのか、目尻を下げてカカシ先生は声を震わす。

「邪魔しないでよ、カカシ先生、向こうに行って!」
「うわ、邪魔とか酷いなぁ、このみはー!」
「こ、声!小さく小さくお願い!」
「え?何よ、小さくて聞こえないって、このみ」
「〜〜!!」


——嫌がらせ行為サイテー!!カカシ先生、意地悪ー!


右左首を振ってあたりを警戒したが、まだ大丈夫なようだ。

焦る気持ちを抑え、花奏はカカシ先生をキツく睨んだ。

「シーー、あと少しで終わりなんですから、面白がってないで兎に角こっち!こっちに来て!」

「ふーん、なんかゲームでもしてるわけ?相変わらずガキだよなぁ、お前らって」

カカシ先生は目を細めて不満を口にする。

早く身を隠して欲しい花奏は、必死に懇願する瞳で見つめ続ければ、師がとうとう折れた。

「やれやれ」と仕方なしに腰を上げて、花奏の隣へ軽やかに飛び降り、生徒は胸を撫で下ろしたのだった。
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