第1章 雄英高校入学試験
『…乾燥肌?手も荒れてるんですね。』
首の時と同じように優しく触れた。
…バシッ
「…手には、触んな。」
振り払った本人なのに痛そうな顔をする。
なんでか、自分を上手く表現できない子供みたいだなと思った。
『……じゃあ、やっぱりぎゅーしましょうか』
「…それもいらね。」
バツの悪そうな顔を背ける姿は、第一印象よりもよっぽど人間らしく見えた。
『大丈夫。あなたはひとりじゃない。怖いことなんて何もないんだから。』
フードから出る前髪を怖がらせないように優しく撫でる。
最初からずっとこの人から感じていたものはとてつもなく大きな負の感情だった。
それが少しでも和らげないかと思って話しかけた。
一時の気晴らしでいい。それで充分だ。
『なんて、受け売りなんですけどね。』
下を向いて反応のない彼に少しお節介が過ぎたかもしれないと思った。
『じゃあ、私はそろそろ行きますね。あなたも風邪引かないうちに帰ってくださいね。』
立ち上がり帰路を辿ろうとしたその時、クンっと左腕が引かれて振り返る
さっきまで座り込んでいたはずの彼はいつの間にか立っていて、髪と一緒に頬を撫でた。
「またね、零」