第1章 雄英高校入学試験
「…なぁ、お前よく危なっかしいとか言われるだろ」
『え、まぁ…幼馴染にはちょこちょこ言われますけど…』
笑って自己紹介したにも関わらず、なぜだか哀れんだような視線を向けられた。
『いやっ、鋭ちゃんが心配性過ぎるだけで、ほかの人には言われたことないですし』
「そのエイチャン以外も、言わないだけなんじゃないの」
そうなの?…いや、そんなことない……はず。多分。
もんもんと考えていると目の前の彼は癖のように首を掻いていた。
そのせいか、所々赤くなっていて全体的に皮膚が乾燥しているようだった。
『ちょっと首触ってもいいですか?』
は?と本日二度目のその言葉を盛大にスルーして持っていたビニール袋からゴソゴソとあるものを取り出す。
本当は家事で手の荒れてしまった祖母に渡す予定だったが、まあいいだろう。
『保湿クリームです。無香料なんで男の人でも大丈夫ですよ。』
少し苛立ってるようなのは分かっていたが、ここはお節介を押し付けると決めた。
ここで何もしなかったらいずれ血だって出てくる。
場所が首なだけに、少しでもやっとかないときっとこの人はずっと放置しそうだった。
「…お前みたいな奴はみんな手があったかいもんだと思ってたけど、違うんだな。」
そう言ってゆっくりとした動作で私の手に触れたその手はどうしてか小指だけ触れていなかった。