第4章 一寸混ざった、世界のお話
首領室ーーー
「ーー報告は以上です」
本部に戻ってきて早々に今回の件を命じた森鷗外の元に赴き、事のあらましを口頭で報告する。
「人成らざる者か、興味深いね」
「信じてもらえるとは思ってませんでしたが……」
中也は少し困ったように返す。
「勿論、妖怪の類いの存在を信じているわけではないよ。しかし、中也君が私に嘘の報告をするとは思えないからね」
「有り難き御言葉です」
「まあ、結果で云えば我々の利益に繋がったようだしね。ご苦労様。今日は帰って休むと良い。報告書は要らないよ」
「承知しました」
恭しく頭を垂れて、中也は「失礼します」と言い、部屋を後にした。
シンッ…と一気に静寂が訪れる首領室。
「……。」
「どうしたの?リンタロウ」
その静寂を破ったのは自身の異能であるエリスだった。
「九尾の狐、か。昔、太宰君も会ったことがあるって云ってた事があったねぇ」
「そうなの?」
「何か繋がりがあるのかもしれないね」
森は静かに笑って窓の外を眺めるのであった。