第4章 一寸混ざった、世界のお話
中也は館に向かって歩いていった。
その道中でも写真を見ながら考える。
写真が変わるなんて事、普通なら有り得ない。
しかし…。
先程まで自分が体験した事も普通なら起こるわけがない。
そんなことを考えていると突然、車のエンジン音が響き渡った。
「あ…?」
音が聞こえた方向は自分が向かっている方向。
つまり、館に誰か来たということだろう。
俺等以外を招待してるッつー話は聞いてねえけど…
そう思いながら館の門まで森を抜けると、丁度、車から男が降りて館に入っていくところだった。
「ありャあ…××じゃねえか」
××はテレビにも善いイメージで取りらげられることが多い政治家だが、裏では傲慢、強欲の性格を隠さずに悪事も堂々も働いていることで有名な人物だ。
「……確か、先日の会合の参加者名簿に載っていたな」
何故、此処に。
そう少し考えて、一番に浮かんできたモノが目に入る。
真逆、彼奴も鏡に用事か?
中也は面倒な事が起こりそうな気配を察知して深くため息をつくと、手に持っていた写真を懐にしまったのだった。
ーーー
「「中也さん!お帰りなさい!」」
部下二人が待ってましたと言わんばかりに近寄ってくる。
「何かあったのか?」
「いえっ、二人で行ったから大丈夫です!」
「何処に?」
「あっ、いや、あははは………御手洗いです」
矢っ張り怖い目にはあったんだなと思うが、追求することなく質問を変えた。
「○○は如何した?」
「それが突然、来客があってその対応に」
「そうか」
「○○さんを呼びに来た執事の話だとどうやら政治家の××のようです」
部下の報告を聞いて、矢張り先刻見た人物で間違いでないことが確定すると小さく息を吐いた。
そして、
「……今しか無いな」
「「え?」」
そう云うと今戻ってきたばかりというのに再び扉の方を向いた。
「中也さん?次はどちらに」
「鏡をみてくる」
「「えぇ!?」」
「別に着いてこなくていいぞ」
「「いや、是非ご一緒させて下さい!」」
「……。」
余程、怖い思いをしたんだな。と心で呟くと中也一行は鏡を置いてある部屋へ向かったのだった。