第3章 一寸先の、未来のお話
敦達は紬達に合流した。
先に国木田が呼んでいたのだろう。倉庫前に到着していた護送車に異能を奪うのとが出来る二人と譲渡できる人間の三人を太宰が乗せて一緒に乗り合わせる。
それに「政府の連中が大勢駆け付ける前に」と云うことなのだろうか。挨拶もそこそこに何時の間にか中也と芥川も姿を消していた。
「いやー共同戦線のお陰で早期解決したねえ」
四人の乗った車を見送りながらしみじみと紬が云うと国木田は大きく頷いた。
「貴殿のお陰だ。感謝する」
「そういえば紬さんは芥川達と一緒に帰らなくてよかったんですか?あ、車の準備とかですかね?」
敦が疑問を口にすると、「むっ、確かに」と国木田が小さく呟く。
「うふっ。うふふふふふ~……………じゃーん!」
「「!?」」
楽しそうに髪をぐいっと下に引っ張るとズルリと髪が、正しくはウィッグが外れた。
「私でしたー!」
「はぁ!?」
「ええ!!?じ、じゃあ僕達と一緒にいた太宰さんがっ……!?」
「そ。紬だよ。気付かなかったでしょ(笑)」
「気付かなかったでしょ(笑)じゃないだろうがっ!(笑)じゃ!!」
「いたたたたた!!国木田君っ、ギブ、ギブ!!」
首をホールドしてぎちぎちに絞めていたがギブの声で止める。
「じゃあ先刻、乗り込んだ太宰が貴様の妹と云うことだな?」
「そうだよ。中也と芥川君も乗っていった。あの車は護送車じゃあない。マフィアの偽装車だ」
「何だって!?」
遠くからサイレンが近づいてくる。
話を続ける二人に気を使い、敦は手を振ってパトカーを誘導するなど其方の対応を始めた。