第3章 一寸先の、未来のお話
ざわめいていた作業員達が一斉に武器を取り出して狙いを三人に構える。
「物騒なもの出してくれてんなァ、おい。話が出来るやつは居ねえのかよ」
そんな光景をニヤリと余裕の笑みを浮かべながら見渡して、中也がそう云い放った時だった。
「待て」
奥の扉から二人の男が現れ、作業員達を制止した。
「どうやら話が分かる人間が来たようだな」
「話をする心算はないがな。しかし、何れ会いに行こうと思っていたこの界隈を仕切っているトップが揃ってノコノコと現れるなんてな」
二人の内、背の高い方がベラベラと喋る。
引くい方は少し下がって黙っている。
「……首領達には指一本触れさせる気はねえよ!」
そう云って踏み出そうとしたときだ。
「中也、待て!」
慌てて紬が制止する。
勿論、直ぐにピタリと止まり、タンッと跳んで一旦紬の傍に戻ってきた。
「……彼奴等と話がおありでしたか?」
「いや、そうじゃない。あの男が『異能を奪える異能者』だ。恐らく、後ろに控えている人が『譲渡させることが出来る者』ってところだろう」
「流石、噂通りの首領だ」
拍手しながらそう云う男に中也は舌打ちした。
「中也。此方に彼等が居ると云うことは「一つ以上」異能を奪える。狙いはーーー君の異能だ」
「!」
「そこまで分かっているとは!!」
余程の自信があるのか。大声で笑いながら目的を否定しない男。
そこで紬は何かを悟った。中也の傍に行き、小声で何かを告げる。
「承知しまし、た!」
そう云うと背の高い男に向かって踏み切った。
「国木田君!後ろの人間を抑えるんだ!」
その合図でハッとした国木田は素早く懐から手帳の切れ端をだし、云った。
「独歩吟客ーーー鉄線銃!!」
「中也!」
「お寝んねしてなッ!!」
「がぁっ!?」
一瞬で手前の男との間合いを詰めて後ろに控えていた背の引くい男にぶつけるように蹴り飛ばした。
鉄線銃を利用して同じく間合いを詰めた国木田により、鉄線を利用して拘束される。
中也は懐から銃を取り出すと、安全装置を外して背の高い男の米神に突き付けた。
「全員、武器を下ろ「いいいい…ッ云う通りにしろッ!早く!!」
中也の言葉を遮るように銃を突きつけられた男はわめき散らした。
本当に一瞬の出来事だった。