第3章 一寸先の、未来のお話
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武装探偵社会議室。
「ここ最近立て続けに発生していた何者かによる密売組織への襲撃は、これで5件目になります」
白板に貼られている写真等の資料を指しながら谷崎が説明を終える。
「遂に◯◯も被害者ッてワケかい」
肘を付きながら与謝野が呆れた口調で云う。
「◯◯って確かこの界隈ではそこそこ規模の大きな密売組織……ですよね」
敦の言葉に谷崎がコクッと頷く。
「◯◯を襲撃できるほどの力を得たってこと?」
「そうなる………よね」
鏡花の言葉で、敦の脳裏にフッと黒い服に包まれた男の姿が浮かぶ。
「こんな短期間に強くなれるなんて矢張り都会って凄いですね!」
賢治の天然発言に谷崎や敦は苦笑した。
少し場が和んだところで谷崎は持っていた資料に目を戻す。
「最初の事件が凡そ一ヶ月前、それから約一週間毎に事件が発生しています。それと同時に殺人事件が数件発生しています」
「殺人事件……?」
写真や資料を白板に追加しながら説明を始める。
「最初の被害者は66歳の男性ーーー職業は無職。窃盗、住居侵入による逮捕歴が多々あり、殺害される4日前まで刑事施設に収監されていたようです」
「二件目の被害者は18歳の男性ーーー職業は同じく無職……××地域で活動している暴走族の一員です」
「もしかして、犯罪者が狙われているんですか?」
「否、そうだと云い切れないンだ」
敦の質問に首を横に振ると、谷崎は新たな写真を掲示して続ける。
「次の被害者は34歳女性ーーー大手IT企業に勤めており、仕事、人間関係においても優秀で、トラブルとは無縁の人だッたと関係者が証言しています」
「そして先週殺害されたのは13歳の少年ーーー火に異常な興奮をみせるという理由で精神科病棟に強制入院していたそうなんですが朝の巡回の際に死亡しているのを看護師が発見しています」
「精神科病棟に強制入院させられてたンならカメラで監視していたンじゃないのかい?」
「それが映像は全く異常がなかッたようです」
説明を聞き終えて今からどうするかを決めようとしたところで、突然、会議室の扉が空いた。
入ってきた人物を見て全員、立ち上がる。
「社長」
国木田は部屋に入ると全員に座るように促し、自身も着席した。