第3章 一寸先の、未来のお話
探偵社の入り口に立っていたのはこの探偵社一の探偵、江戸川乱歩だった。
「真逆!乱歩さんに勝る人間なんてこの世に居ませんよ」
「判ってるならいいや。谷崎君ーラムネー」
「はい、直ぐに」
市警の手伝いで外出していたのだろう。
同じように入り口には警察の制服を纏った人が立っており、一礼すると去っていった。
乱歩の事だからまたもやパトカーをタクシーにしたのだろう。
まあ、快く送迎してくれるーーーそれ以上の貢献を乱歩がしているからだろう。
「太宰」
「何だい?」
「マフィアの動きは如何なってる?」
「うーん……」
先刻までの巫山戯た調子は何処に云ったのだろうか。
真面目な顔をして太宰は考え込む仕草をする。
「どうやら向こうにも被害が出たようだね。ここ数日、活発に動いているようだ」
「そうか」
その会話を聞いた瞬間に、敦の中で何かが何かを告げる。
あ、嫌な予感がする。
そう思った瞬間に、太宰と目が合った。
ニッコリと笑った顔を見た瞬間に、敦の中の何かは正しいことを告げていたんだなと確信
することが出来た。
「ポートマフィアの被害者はね、芥川君だよ」
矢っ張り。
敦は首を盛大に折り、項垂れたのだった。