第2章 一寸前の、黒が欠ける前のお話
首領室を出て、先に異変が現れたのは中也の方だった。
「身体が…熱ィ……手前もか?」
「最悪なことに、ね。……こんなに身体が可笑しくなるほどのモノだったなんて」
「手前が…その状態……なんてよっぽどだな」
二人ともはぁ、はぁ。と少しずつ息が上がっていく。
「○○は精神操作系の異能力者だった。その異能を薬か、あの臭いの……元にかけていたとなれば……僕にも作用してしまう」
「クソッ。……下手な催婬剤より強力じゃねえかっ!」
「…僕もその思考に支配されそうになるからよっぽどだね」
そう云いながら二人は現在の心配事である紬の元に向かった。
太宰が幹部として与えられた部屋の中にある仮眠室に寝かせている為、他の者と接触している訳はないのだが、それでも心配なのは仕方がないことだろう。
なので仕方がなかったのだ。
今から会いに行くのが、自分達にとってどんな存在の人物なのかをよく考えることをしなかったーーーいや、出来なかった。
二人は今の自分の状態を、正常に動いていない脳のせいで理解していなかった。
よってーーー
目的の部屋にたどり着くと紬に気を使ってそっと扉を開けて中に這入った。
「「!」」
すると、予想していなかった事に、紬は目を覚ましていたのだ。
寝かされていたベッドに状態を起こして座っていた。
勿論、紬の方も二人に気付いて其方の方を向いた。
「あ、おかえり。二人とも」
そして、作り物ではない満面な笑みを浮かべて二人に云った。
プツン…
脳の。
思考の何かが切れる音が二人には聴こえた気がした。
「ちょっと、二人とも!?」
笑顔だけではない。
破れたブラウスも。
その間から見える下着も。
紬の今の姿を。
「んぅ!?…っん!!」
今の状態で、会うことが駄目だったのだ。
「……はぁっ、二人、ともっ!落ちつい…んぁっ!!」
今の太宰と中也に紬の言葉は届かなかった。
「っ!……まって、…あっ!」
二人は息ぴったりの行動力を発揮し、代わる代わる紬に口付けをし、その衣服を剥ぎ取り、身体に触れた。
その行為は日が沈みきった後までも及び、
三人が意識を飛ばすようにして眠りにつくまで続いた。