第2章 一寸前の、黒が欠ける前のお話
「そうだ。貴様を薬漬けにして味方につけ、このポートマフィアの監視を掻い潜った密売で儲けるのが我々の目的だ」
そう云い終わると男は更に注射器を取り出す。
「……また薬、の投与…です、か」
「ああ。像でも落とせる筋弛緩剤と睡眠薬だ。抵抗される可能性を凡て潰すーーー何、次に目を醒ました頃には俺に従順な性奴隷と化してるさ」
黒服達が服を脱ぎ始める。
それに続くように○○もネクタイを緩め始める。
「凡ての行為を録画する。それをネタに貴様の兄や相棒も我々の為に働くように、な」
「っ!」
グラリと視界が揺らぐ。
次第に目を開けていられなくなる紬。
男達の息遣いも荒くなっていく。
「催婬作用のあるお香が焚いてある上、その香に俺の異能『その場の一番強い感情を全員、興奮状態にする』精神異能のせいで彼奴等も限界だ」
黒服の一人が紬のブラウスを乱暴に引き裂いた。
「安心しろ、確りと可愛がってやるからな」
ニヤァ、と笑いながらそう云った言葉を最後に紬の意識は途切れたのだったーーー。