• テキストサイズ

【文スト】対黒・幻

第1章 一寸先の、宝物のお話


暫くして太宰が落ち着きを取り戻すと、修治と文也は再び食べさせあいっこを始める。

「ぱぱもたべる?」

「俺はあるから気にせず食べろ」

「おいしいからひとくち!あーんして!」

「あー、はいはい。有難よ」

修治が中也にコロッケを食べさせる。

「ぱぱも!あーん!」

「ふふっ、有難う」

文也は太宰に食べさせると、満足そうに頷いた。
それを見て修治も太宰の口元にコロッケを持ってくる。

「ぱぱーぼくのもたべて!あーん!」

「修治も有難う」

頭を撫でながらお礼を云い、口を開ける。
コロッケを食べてもらえたのを確認すると修治も嬉しそうに笑った。


そんな時、

スーッ

「「!」」

何の前触れもなく廊下に繋がる襖が開いた。


子供達がパアッと今以上の笑顔を浮かべて襖の方へ走っていく。


「「ままー!!」」

「おっと」


這入ってきたのは修治と文也の母親ーーー

「遅かったな」

「少し問題が生じてね」

抱き着いてきた子供達の頭を撫でながら中に這入ると太宰のとなりに迷わず座った。


「驚いたかい?」

「……それはもう」

「サプライズ成功だね」


ふふっ、と笑って云った修治と文也の母親こと太宰紬を、太宰は思わず抱き締めた。


「………云いたいことも聞きたいことも沢山ある」

「そう。でも今からは一緒に暮らすでしょう?」

「うん」

「それなら時間は幾らでもある」

「……うん」



共にあることを即答した太宰の背中をポンポンと撫でながら、紬はクスクスと笑った。
/ 77ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp