第1章 今日も夢を見る
「!参拝客が沢山来ていたのに!この神社の顔に泥を塗った!」
「ごめんなさい父上。急ぎの用が…」
家に戻ったは父からひどくしかられ続けており、彼女の隣では歳三が背筋をピンと伸ばしたままばつが悪そうにしていた。
「神主さん、は俺たちのために参拝客ほったらかしてまで来てくれたんです。」
「まただ。土方歳三。お前は娘に悪い影響を与える小僧だ。この子には仕事があるんだ!お前の薬売りのような仕事ではなく、大勢の人生を救える偉大な仕事だ!それを…」
「…そんな仕事、はのぞんでないだろ?!」
ぱーんと歳三の右頬に平手が飛ぶ。
「望んでなかろうが、それが仕事だ!!娘は巫女なんだ!!」
は父親を真っ直ぐにその綺麗な澄んだ瞳で見つめるが、そこからはなんの感情も伝わらない。
父親はふるりと肩を震わすとそんな眼でみるなと怒鳴り付ける。
「父上は神に遣える社を持っている神主様よね?なのに私の親友を平手打ちしたよね?私、巫女やめてもいい?この神社は…邪悪な気で満ちてるの。ここにいたくない」
「っ!」
「自分の見たい夢を見たいし、この力は歳三に使いたい。だからここを出ます。」
「何を言うんだ!家はどうする気だ!着るものは!?食べるものは!?」
歳三はいまだ!と
「俺が面倒見ます!!!」
と叫んだ。
「…歳?」
「……嫁にこいって言ってる訳じゃねぇぞ!誤解するな!」
「…ほら、もう片付いた。父上お元気で。」
歳三とは何も言えない神主を尻目に神社を素早く出た
「歳って馬鹿だよね!」とたたん、たたんとテンポ良くリズムを刻みながらスキップ
元来た道を戻るは今までにない笑顔を浮かべた