• テキストサイズ

《文スト》こんぺいとう

第3章 猫目が笑う《乱歩》



大人げない?上等だ。


情けない?受けて立つわよ。




ハイヒールの踵をかつかつと鳴らしながら、私は頬を膨らませた。





駄菓子屋に着いてから、早30分。





延々悩み続ける背中には、苛立ちしか沸いてこない。



こんなに時間があったら明日の分も片付けられたじゃない!


思った以上どころか、全くの想定外の長さになっている休憩に、私は顔をしかめた。


「どーれーにーしーよーうーかーなっ」



何を悩んでいるのかと覗いてみれば、小さなヨーグルトのような駄菓子の色を選んでいるようだ。

私も子どもの頃に食べた記憶がある。




「これ、食べたことある?」

『は、はい』


ふと振り返られて、私は思わず口ごもってしまった。



美味しいよねー。


独り言なのか私への返事なのか、分からないまま小さなカゴを片手に、乱歩さんは会計をし始めた。



嗚呼此れで、やっと帰れる。
/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp