第5章 新しい生活
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「チッ…。汚ねぇな。」
「兵長、隣の部屋終わりましたっ。」
なながホウキを持って俺の掃除している部屋に入ってくる。
「おい、埃を落としてから入れ。」
「あっ、すみません!」
昨日襲われたと思ったら今日はもうエレンと同部屋か。
オルオを無意識に突き飛ばしたのも昨日の一件のせいだろう。
本人は分かっちゃいねぇ様だが。
そう思いながらななの掃除した部屋に入り隅々まで確認する。
想像以上に天井や床が綺麗に磨かれており、珍しく指摘する場所が見つからない。
「悪くねぇ。ここはもういい。お前は地下室を手伝って来い。」
「分かりました!」
地下室へ駆けていくななの後ろ姿を見つめながら、ハッとする。
地下室にはエレンが居る。
先程の状態を見る限り何があってもおかしくは無い。
女を知っている奴でも制御出来ない程の容姿と器量を持っている女に、思春期真っ只中のエレンが抑えられる可能性は低いだろう。
いつもなら士気に大きく関わらない限り止めはしないが、隙だらけの女を放っておく訳にもいかず。
何も起こっていない事を軽く願いながら地下室へと向かった。
階段を降り終え視界を見渡すと
エレンがななの腕を掴み、しゃがみ込んだ状態で俺を見ている。
睨みをきかせながら近付こうとすると
エレンが真っ青な顔で否定するように訴えてきた。
「兵長!こいつ、すげぇ熱です!」
「あ?」
そう言い終わったエレンはななの腕を自分の肩に回し、立ち上がらせようとしている。
どうやら襲っていたと早とちりしてしまったらしい。
「兵長、私は大丈夫ですので…。エレン、一人で立てるよ…わっ!」
「お、おい!」
エレンの腕をのけ、そのまま俺の方に倒れて来たななを片手で支える。
「チッ。めんどくせぇ。」
そのままななを抱き抱え、階段の方へ向かう。
「兵長!待って下さい!俺が運びますんで!!」
「兵長っ?!重いので降ろしてくださいっ…!」
「…耳元でギャーギャー騒ぐんじゃねぇ。」
「すっ、すみません…。」