第5章 新しい生活
抑えていたななの顔が急にガクッと落ちる。
「…は?」
不思議に思い両手を離すと、なながいきなり俺の肩に倒れ込んできた。
「わっ。」
俺の首元に熱い息がかかる。
「ッ…。」
緊張して顔が見れない。
いざこんな場面になると全く触れない自分が情けない。
と言っても、向こうから肩を預けて来るなど今までに無かった事だ。
まさか、と思い期待しつつ口を開く。
「お、おいっ、なな?」
返事は帰ってこない。
おかしいと感じ始めた俺は、ななの肩を持ち顔を確認した。
「…っごめんねエレン…ちょっとだけ、キツイかも…。」
眉を八の字にさせ、苦しんでいる様に見える。
初めて見るしんどそうな顔に戸惑った俺は咄嗟にななのでこに手を当て、熱があるか確認してみた。
「ッ…高熱じゃねぇか!! 」
自分の事で精一杯だったのか、全く気付かなかった。
一気に罪悪感が生まれてくる。
どうすればいいか分からず考えていると
立っているのもままならなかったのか、ななは座り込んでしまった。
「おいっ!しっかりしろ!…クソッ…。」
「だっ、大丈夫だから…。皆には、黙ってて…。」
「大丈夫な訳ねぇだろ!早く横にならねえと…。」
そう言いななの腕を自分の肩に回そうとしたその時、階段から降りてくる誰かの足の音が地下室に響いた。
階段から降りてきた人物は、掃除の様子を見に来た兵長だった。