第1章 崩壊
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ななはそう言っていたが、あいつはアホなのか…?
確かにチビだ。けど可愛い。誰もが振り返る。
150cmにも満たない身長、サラッとした胸元まで伸びた綺麗な赤髪、真っ白な肌は、どんな服を着ても目立っていた。
おまけにちょっと天然で抜けてるとこがある。
大きな目、高過ぎない綺麗な鼻筋、プルっとした唇。
全てが完璧なほど整っている。
男なら誰もが守りたくなるような性格。
飾っていない性格にまた惹かれてしまう。
くそっ、男共が振り返ってる…絶対守ってやらねえとっ…
「エレーン、ミカサも居たよー!こっちで食べよ!」
手を振ってピョンピョン軽く飛んで合図をしている。
その揺れる胸に、男達は更に目を大きくする。
「おいっ…辞めろっ。行くからっ!」
俺とアルミンは食事を零さないよう、小走りで走ってななとミカサの目の前に座った。
「頂きます。」
あれから2年経ったが、顔付きや目の奥は当初とは違うな…。
きっと俺の母親と同じように喰われた母親を見て、こうなったんだろうな…。
守ってやれなかった…何もかも。
俺の母親も、お前の澄んだ心も。
ごめんな…。
これからは絶対俺がお前を守ってやる。
そして駆逐してやる、この世に1匹残らず、な。
そう心に誓っていると
ななとミカサの後ろから視線を感じた。
ああ?なんだこの馬面野郎。どいつもこいつもななを見やがって…
「おい、飯中にジロジロ見てんじゃねえよ。」
つい、口から出てしまった。
ななとミカサがサッと後ろを振り返る。
「ちょっ、エレン!そんな事言わないでよ!」
急いでこっちを向き、俺の腕をユサユサと揺らして必死に止めている。
あぁ、可愛い…。
「お前、調査兵団に入るんだってな、勇敢な事で何よりだな。」
「あ?それは俺の事を言ってるのか?」
二人共、ガタガタと立ち上がる。
それをななも立ち上がり、止めようとした。
が、その時、その馬面野郎の動きが止まった。
「…あ…え、えっと…」
馬面がななを見て急速に赤面した。
「???」
おまけにななは気付いてねえし。
「おいっ、何見てんだよ!ジロジロ見んじゃねえよ!」
勢い良く殴り掛かろうとした時、鐘が鳴った。