第1章 崩壊
-----その時だった-----
一瞬だった。
何もかも崩れ去るのは。
見えたものは
大きな巨人が壁から顔を出した事
大きな石が何個も何個も、空から降ってきた事
私の母が巨人に食べられていた事
そして同じ様にエレンの母が食べられていた事
私達は一瞬にしての出来事を無理矢理受け入れるしか無かった。
「駆逐してやる!!!」
エレンの痛い叫びが聞こえる。
涙が出ない
声が出ない
どうしてこんな事になったのか。
さっきまでの日常は何処にいったのか。
ただただ震える手を見つめるだけだった。
私は唇を噛み締めていたのか、血の味がした。
---------847年---------
あの日から2年、私達は農業従事等を行い、時を経た。
12歳になっていた私達は、訓練兵に入団した。
深く傷付いた心は、あの光景を見た人は
誰も癒えきっていないだろう。
「おい!!貴様は何者だ!!」
「はっ!シガンシナ区出身!アルミンアルレルトです!!」
キースと言う教官が勢い良くアルミンに問う。
鋭い問いが終わった後、隣に居た私の顔をギロっと睨み、直ぐに通り過ぎて行く。
よく見ると、エレンとミカサも聞かれていないようだった。
その後、入団式を終えた訓練兵達は食堂へ集まった。
うぅ…人がいっぱい居るなぁ…人見知りなのに…
そんな中、エレンとアルミンが食事を乗せるトレーを渡してきてくれた。
「おい、一人でウロウロすんなよな。お前ジロジロ見られてんだよ。」
「そうだよなな…。僕らの心配も考えてね…。」
はぁ…
また言ってる…
「だーかーらー、見られてないって!3人とも私に過保護過ぎなんだよ!チビだから子供に見られてるんだよきっと…」
こんな時、いつもネガティブに考えてしまう。
情けないなぁ、人見知りも、この童顔も、身長も。