第5章 新しい生活
皆の視線が痛いせいで、普通に言った筈の自分の言葉に恥ずかしくなり、俯きながらそれを回避する。
「……。」
シンとした空気に我慢出来ず顔を少し上げると、険しい表情のリヴァイ兵長が私を睨んでいる様にも見えた。
「あの…駄目なら全然大丈夫ですので…「チッ。間違いだけは起こすんじゃねぇぞ。」
「…へ?間違い?」
舌打ちする兵長がエレンの方を向き言い放つ。
「てめぇに言ってるエレン。それすらも抑制出来ねぇ様なら今ここで言え。直ぐななに別の部屋を宛てがう。ここに来る前も言った筈だ。」
"浮かれてハメだけは外すんじゃねぇ"
何が何だか分からずエレンの方を見てみると、顔が火を噴く程真っ赤に染まっている。
「え、エレン?大丈夫?!」
近くに居たエレンの腕を持ち揺さぶる。
「へ、兵長、俺、大丈夫、です…。」
「…話は終わりだ。全員早急に掃除に取り掛かれ。」
「は、はい!!!」
兵長とエレンの会話がさっぱり分からないまま、旧調査兵団本部の掃除が始まった。
「おいエレン、全然なってねぇ。全て一からやり直せ。」
「は、はいっ!!」
噂には聞いていたが、ここまで兵長が綺麗好きだったなんて。
掃除が好きな訳では無いが、一度やり始めると止まらない性格だった私は自分でも満足する程に部屋をピカピカにしていた。
私が掃除した部屋を兵長が隅々までチェックしている。
「悪くねぇ。ここはもういい。お前は地下室を手伝って来い。」
「分かりました!」
悪くねぇ、って褒めてるのかな?
兵長の言動が未だに分からず、悶々と考えながらエレンが掃除している地下室に向かった。
エレンが顎に手を当てて何か考えている様子が見える。
「ここで一緒に寝るんだよな…や、やっぱ上の部屋からベッドもう1つ運んで…ってわっ!!」
「エレン?何1人でブツブツ言ってるの?」
笑いながら階段を駆け下りエレンに近寄る。
「ななっ!いやさっきのは深い意味じゃ無くて…!」
「深い意味?どう言う事?あっ!そう言えばさっき兵長と何の話をしてたの?」