第5章 新しい生活
リヴァイ班の皆が顔を合わせる。
感情的になってはいけない、と思った私は冷静な口調でエレンに話し掛けた。
「エレンは巨人をいっぱい倒したんだよね?しかも、壁の穴を塞いだって聞いたよ?そんな凄い事、エレンにしか出来ないよ。」
エレンが顔を赤くしながら頭を搔く。
元々人見知りだった私はその場の空気を察知するのが得意だった為、皆のエレンへ向ける視線が違ったモノだという事に気付いていた。
この状態でそのままにしたくない。
「とにかく!エレンが巨人化しても私は引かない。ずっと友達でしょ!
ミカサとアルミンも凄く心配してたんだからね!」
「なな…。」
オルオさんとペトラさんが近づいて来る。
「こ、こいつの言った通りだ!お、おめぇなんかが巨人になった所で痛くも痒くもねぇんだよ!」
「エレン、ごめんね。私達、凄く感じ悪かったよね…。エレンだって、なりたくてなった訳じゃないよね…。」
「いっ、いえ!謝らないで下さい!」
ペトラさんとオルオさんがエレンに話し掛けホッとする中、近くで腕を組んで立っていたリヴァイ兵長が突然、口を開いた。
「言い忘れてたが、エレンの部屋の配置は地下室だ。」
皆がギョッとする。
「え?兵長…それはエレンが可哀想なんじゃ…。」
「さ、さっきまで地下室に閉じ込められてたんすよね…?」
ペトラさんとオルオさんがリヴァイ兵長に怯えながら必死に突っ込む。
「これは調査兵団がエレンを引き取る際に提示された条件の1つ、守るべきルールだ。こいつは自分自身を掌握出来てねぇ。万が一こいつが寝ぼけて巨人になったとしても、そこで拘束出来る。」
兵長の目が少しだけ鋭く光る。
「は、はい!!」
皆が冷や汗を掻きながら納得し、返事をする中
私は兵長に質問した。
「リヴァイ兵長、私も地下室を自部屋にしてもいいですか?」
「ええ?!」
リヴァイ班の皆がその台詞にまた驚く。
一瞬何故かその場の空気が静かになったが、理由を続けた。
「あの…エレンとは小さい頃からの幼馴染みって言うか…家族って言うか…。その、薄暗い地下室で一人だと私も寂しいと思うので。」