第4章 入団式
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周囲の兵士達は、団長の演説と今回の巨人の襲撃で
相当脅えている様子だった。
ゾロゾロと兵士が去っていく中、エルヴィン・スミスと言う男をただただ、見つめ続ける。
自分の心臓の音がやけに五月蝿い。
私は死なない。いや、死ねない。
自分に無理矢理プレッシャーをかける中、微かに高揚した。
それは今のたった一つの選択で人類の運命全てを背負った様な感覚になったから。
そして先程、その大きな責任をこの場に残った数十人の兵士一人一人が受け継いだ様に感じた。
それに耐え切れなく叫ぶ兵士、泣きじゃくる兵士、自分の運命に諦めた兵士。それぞれの想いは様々だろう。
“死ねと言われたら死ねるのか”
勿論死にたくは無い。生きられるものなら生きたい。
誰もがそう思った。
死ぬ為に戦う訳では無い。自由を求め、幸せを求め。
あの当たり前だった日々を取り戻す為。
“投資”してやる。この力全て。人類の未来の為に。
「みんないい表情だ。」
そうしてエルヴィン団長の壮絶な演説が終わり、私とエレンを含め22人の訓練兵が新たに調査兵団に加わった。
広場から移動しようと食堂の方に足を向けると、アルミンが駆け寄って来る。
「なな!入団式の歓迎会は参加出来ないの?」
「うん、昼食の後ですぐにエレン達と旧本部に行かなきゃいけないみたい。」
アルミンとミカサにはリヴァイ班だと言う事を伝えていた為、心配してくれている様だ。
「そっか…。歓迎会は夜だから無理だね…。一ヶ月も会えなくなると思ったら寂しいよ。」
「あはは、そうだね。そんな長く離れた事無かったもんね。じゃあお昼ご飯一緒に食べよー!」
笑いながらアルミンの背中を軽くパシッと叩く。
「そう言う意味で言ったんじゃ…ハハ、そうだね!行こうなな!」
アルミンに手を握られ、その後にミカサが付いてくる。
食堂のテーブルに集まったメンバーが仲の良い同期達だった事をきっかけに、私は自分が昨日リヴァイ班に入った事を伝えた。
「は?!お前だったのかよ!!」
ジャンの食べていた物が口からポロポロと落ちる。
「すげぇスピード出世だな…。」
コニーは放心している状態でパンをひたすらかじっていた。