第1章 崩壊
-------845年シガンシナ区-------
鳥の囀りと窓から入る朝の日差しで目が覚める。
「なな〜!そろそろ起きなさいっ!」
母の怒声が聞こえる。何度か起こそうとして起きなかった私に苛立ちを覚えるかのような口ぶりで。
窓の向こうで洗濯物を干しているようだ。
狭いボロボロの家には母の声が良く響く。
「ん〜…まだ眠い…。」
「エレン達と遊ぶんでしょ!何度も起こしたからね!もう起こさないわよ。」
そろそろ起きなければ雷が落ちそうだ、と思い、重い腰をベッドに掛ける。
目を擦りながら居間に行くとそこには既にエレン、ミカサ、アルミンが居た。
「あれっ、もう来てたんだ…おまたせ…。」
正直、まだ目が開かない。瞼が重いし、部屋着のままだ。
「遅えよなな〜、何分待たせんだよ。」
エレンが呆れた顔で見てくる。
「まぁまぁ、疲れてたんだよ。」
アルミンは弟っぽいが、何気に面倒見が良く、時折仲介人をさせてしまっている。
「なな、服を着替えてきた方がいい。」
続けてミカサも口を開く。
「えー、分かったよぉ…」
トボトボと重い瞼を擦りながら私は服を着替えに行った。
「エレン、熱でもあるの?顔が真っ赤だよ?」
「っ…何でもねえよ!」
そんなエレン達の会話が少し遠くで聞こえる中
今日もいつも通りの日々が過ぎる。
そう思っていた。
「着替え終わったよー!お待たせ!行こっか!」
私達は今日も自由を希望に夢見ながら走って行く。