第4章 入団式
「私も今ここに居る皆が生きていてくれて、本当に良かった。途中で気を失ってたみたいで何の役にも立ててないけどね。」
ミカサの頬に擦り傷がある。
あのミカサに傷が付くなど、相当な事が無い限り有り得ない。
私があんな勝手な行動をしなければ。
後悔が渦巻く中、苦笑いを作った。
「そうだったのか?!あのななが?!」
ジャンが急に立ち上がり、目を見開いて驚いている。
「そんな事無い。私が見た限りななは10体以上巨人を倒してる。自分で何もかも背負わないで。」
「ミカサ…ありがとう。」
悲しそうな顔で力強く私を見つめるミカサに泣きそうになる。
「…やっぱりな。お前は凄ぇよ。それで役に立って無いとか言われたら俺らはどうなるんだよ。」
ジャンは座り直すと、優しく私の頭を撫でた。
そして
「決めた。俺は調査兵団に入る。」
ジャンの一言に全員が唖然とする。
あれ程内地の憲兵団に入りたいが為に上位になった男が、いつ死んでもおかしくない調査兵団に入団すると言うのだ。
驚くのも無理は無い。
「え…?ジャンはそれでいいの?」
アルミンが驚いた様子でジャンに問い掛ける。
「ああ。」
拳を握り締めている様だ。
マルコが死んでしまった今、
私達には計り知れない強い意志や後悔が
ジャンにはある気がした。
「ジャン…。」
「べ、別に、ななを死なせたくねぇとかそんな理由で調査兵団に入るって言った訳じゃねえぞ!!俺は自分の意志で入るだけだかんな?!」
赤くなった顔で立ち上がり、机を無駄に煩く叩いているジャンにすぐ様ミカサがツッコむ。
「ジャン、そこまで聞いてない。」
ザワザワした食堂に笑い声が交じる。
余談が終わった私達はトレーを流し台に戻した後、兵士達が集まる広場に向かった。