第2章 調査兵団への勧誘
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「なるほど…君は友人のエレンとアルミンが心配になり、ミカサにその場を頼んで助けに行ったんだね。でも、その2人は居なかった…。」
「はい…。私は私の私情で動いてしまいましたっ…。」
下を俯きながら唇を噛み締めている。
「でもその場所って、聞く話によると巨人がうようよ居たんだよね?」
「は、はい…。でもあまり覚えて無くて…。」
この子は一体何者なんだろう。
リヴァイの話によると、その周辺にはこの子しか居なかった。そして戦っている姿も遠目で見ている。
ほぼ意識が無い状態で戦っていたらしいが…。
その場に居たと言う新兵に聞く話によると、巨人はその周辺だけで軽く10体以上は居た筈だ。
巨人に喰われそうになった時にこの子が助けてくれたとも言っていた。酷い言葉を放ってしまったそうだが…。
2位で訓練兵を卒業したとキースが言っていたから興味があり目を付けていたが…。
10体以上もの巨人を同時に倒すと言う事は何十人…いや、何百人死んでもおかしくない領域だ。
こんな小柄な子にそんな力があるとは…。
「失礼するよ。」
そんな事を考えていると、エルヴィンが医務室の扉を開いた。
「団長っ!…っ痛ッ…。し、失礼しました。」
身体中が痛いのか、頬を赤く染めながら立ち上がり、エルヴィンに敬礼している。
「なな、ご苦労だった。君のお陰で住民を1人でも多く避難させる事が出来たよ。」
「いえっそんな…。私は私情を挟んだ上に、気を失ってしまいました!何も…感謝される事なんてしていません…。」
「んー。君はそう言うけど、結果オーライなんじゃないかな?君は後列でも前列でも、多大なる成績を収めたんだよ?もっと喜ばないとね!」
そう言いながらななの肩をポンッと叩くと、エルヴィンも微笑み頷いた。
「その私情という話、少々立ち聞きしてしまったのだが…。そのエレンと言う君の友人が先程、巨人化出来る力を発揮した。」
「はい。………え?」
ななの瞳が丸くなる。ビックリし過ぎて唇が開いたまま塞がらないようだ。
やっぱり知らなかった様だ。エレン本人でさえ知らなかったんだから。
「ハンジも聞いてくれ。先程の審議で、エレンを調査兵団に入団させる事が決定した。リヴァイの監視付きだがな。」