第1章 雪降る日
全ての説明を終え、最後に、政府が君を選んだのだと鶴丸は言った。
神無は驚愕し、少しの沈黙のあとようやく言葉を発する。
「ちょっと、まって…本丸とかのことはわかったけど…なんで私が、その審神者に選ばれたの…?」
鶴丸「それは知らん。だが、君は選ばれた。この本丸は長いこと、主がいなくてな。もう少しで解体されるとこだったんだ」
「…前の主は…どうしていなくなったの?」
鶴丸は笑みを消し、暗い影を落とす。
鶴丸「…死んだのさ。病気で、あっけなく。俺以外の仲間は…みんな刀解されたんだ」
「そっか…」
鶴丸「俺は近侍だったから、1番最後に…明日、刀解される予定だった。でも、君が来てくれた」
鶴丸に笑顔が戻り、神無と向き直る。
鶴丸「頼む。俺と一緒に、戦ってくれ」
「……一つだけ…条件があるわ」
鶴丸「条件?」
「ーーー、ーーーーー、ーーーーーー」
鶴丸は今まで、数多の人間を見てきたが、これほどまでに美しく、儚げな表情をする人間は初めてで、目を奪われた。
真っ直ぐに鶴丸を見つめる神無の目に、心までも引き込まれそうになる。