第1章 雪降る日
ーーーチリン……
鈴の音が響く。
小さく、だがしっかりと、その音色が響く。
少女はその音色に誘われるように、目を覚ます。
(ここは…)
とても良い香りのする見慣れない和室に敷かれた布団に、少女は寝かされていた。
少女はキョロキョロと周りを見渡し、ここは誰かの家で、その誰かに自分は助けられたのだと理解する。
家主を探すため、部屋を出る。
(立派な家…)
この家は随分広く、少女の足ではなかなか全ての部屋には周れなかった。
少女は歩き疲れ、中庭に繋がる廊下に座り込む。
(誰もいない…出かけているのかしら…)
外は雪が積もり、白銀の世界が広がっている。
少女はぼんやりと、しんしんと降る雪を眺める。
ふと、中庭に作られた雪だるまに目をやる。
そこで、なにかが動いていた。
「え…?誰か…いるの…?」
少女は目を凝らし、声をかける。
「あの…!誰かいるの…!?」
その後ろ姿は、真っ白な装束を着た、真っ白な男だった。