第3章 子守唄
怖い。
噛み締めるように、心の中で反復する。
(これが…怖い…)
どこか遠くを見ているように、呆然としているユキの震える白い手を、包み込むように握る。
「!…鶴丸…?」
鶴丸「大丈夫か…?そんなに、怖かったか?」
「…ううん、もう大丈夫」
鶴丸「まだ震えてる。無理はするもんじゃない」
「…うん」
鶴丸「…悪かった。もうしないから…」
申し訳なさそうに、肩を落とす。
そんな姿を見たのは初めてで、なんだか微笑ましくなってくる。
「…クス…大丈夫よ。そんなに、気を落とさないで」
優しく、しかしクスクスと笑いながら声をかける。
鶴丸「な、なんで笑うんだ」
「ふふ、だって、あなたが落ち込むところなんて初めて見たんだもの。それに…そこまで私を心配してくれるなんて思わなかった」
鶴丸「…なぜ、そう思ったんだ?」
「だってあなた、いつも私を見ているようで、本当は他の人を見ているでしょう?」
ギクッ…と、効果音がつきそうなほど、図星をつかれた表情になる。