第2章 死に損ないの希望
革命軍の勧誘を断ってからと言うもの奴らは何度も私の元へ訪れては入らないか、どうだと言ってきた。何度も行ったが私は犯罪者に成り下がるわけにはいかない。私を助けてくれた親切な人たちは何と革命軍支援者だったらしい。本心では入って欲しそうだが私の血筋がバレればそうも言ってられないだろう。
だが予測できないことがその日は起きた。特に意味もなくベッドの上から窓の外を眺めていると私の部屋に訪問人が。ドクターやナースは必ずノックをしてくれるが飛んだ無礼者が訪ねてきたようだ。
黒いハットに黒いコート、随分小綺麗で上品な無礼者だ。
「レディの部屋にノックをしないで入るなんて随分な紳士ね」
「レディ?あんたのことか?」
なんということだ。想像をはるかに超える失礼な男だ。私が本調子なら今頃ぶっ飛ばしてる。
「そう殺気立つなよ。別にあんたとやり合おうって訳じゃない。俺一個人としてあんたと話がしたい」
「あんた個人として?革命軍のNo.2が死に損ないの元海兵に一体何の用?」
「なんだ、知ってたのか」
「元中将なんだから犯罪者の顔くらい覚えてる」
「犯罪者の顔か…弟の顔は?」
「は、」
「なんだよ…あんたも記憶喪失か?」
弟ってなんだ、なんで私に弟がいたことを知ってるの。私には3人の弟がいた、本人たちが私のことをどう思っていたから知らないけれど。実弟のエースは死に、ルフィは戦争を離脱後、行方知れず。10年前に死んだらしいサボ…、
「……えっ、……サボ?」
「何だよ覚えてるじゃん。同じ名前で手配書出てるのに知らなかったのかよ元中将さん」
「んな…、まさか死んだって聞いた人間が元気に犯罪者やってるとは思わないでしょうよ…」
「そりゃそうだな。……最初に言ったが、話がしたいんだ」
死んだと思っていた弟が生きていて、今まで何をしていたか、どういう状態だったのか話してくれた。
「……殴らないのか?」
「あんたの不遜な態度に対してなら何度も殴ろうかと思ったけど」
「エースを助けに行けなくて、ごめん」
「…それをあの場に居て何もできなかった私に言うの?」