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【ONE PIECE】冬来りなば春遠からじ

第2章 死に損ないの希望


死んだと思ったらどうにも親切な医者に助けられた。無様にも片腕も無くし、特に頓着もしなかった顔の左半分に醜い火傷を負った。新聞なんかは読んでいないから私のことが報道されているかはわからない。これは憶測に過ぎないが本部では死んだことにされてる、死体は見つかっていないけど私も死んだと思ったし彼方さんも殺したと思ってる。確認のしようはないけれど、死んでるんだろうな。
きっと親切な医者も私が何者かわかっていないであろう。だったら今頃海軍の連中が私を引き取りに来るか、CPか何かをつかって私を殺しにくるしな。まぁ結果的に海軍は辞職(?)できてラッキーである。
生きているのか死んでいるのかよくわからない状態のまま治療されて数ヶ月、殆どベッドの上で過ごしつつ極稀に家の中を練り歩いてはナースに部屋に戻れと叱られベッドの上へと逆戻りといった生活を続けていた。そんなある日黒いコートを着たどうにも怪しい男女2人組が私の元へ訪ねてきた。

「初めまして、元海軍中将青剣の殿」
「何?私を殺しに来たの?」
「滅相もありません!お願いというか…我々は勧誘に参りました」
「勧誘…?」
「是非、革命軍で共に戦士として戦いませんか?」
「断る」

まさか革命軍の連中だったか。全貌は知らないが、厄介な連中であることは分かる。どういった情報網を使ったのか知らないが、死にかけた女が私だと知っているなんてやはり侮れない組織だな。

「貴女は海軍に捨てられた身…それでもまだ正義だ何だと言うのですか」
「随分言ってくれるじゃん犯罪者」
「何だとっ!?」
「傷に触るから帰ってくれる?」

海軍にできないことをやってのける革命軍。しかし結局それは犯罪行為にしかならない。気の毒な組織だと思うけれど、犯罪者は犯罪者。私の血筋がどうであれ、エースのために人生掛けるつもりで海軍に入ったのだ。確かに海軍には見捨てられたかもしれないが、元々辞職するつもりではあったので結果オーライである。そんな私が、存在が罪である私が革命軍になんて入ったら、世界的にみても本当の犯罪者になってしまう。これ以上じいちゃんの心労も増やすわけにはいかない。
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