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【ONE PIECE】冬来りなば春遠からじ

第3章 弟の懺悔と初恋


が泣いて、しばらく落ち着いた頃。赤く腫れ上がった目元と声をあげて泣いた所為で痛んできたであろう喉を労ってナースから濡れタオルとコップ一杯の水を取りに席を立った。戻ってきて、にそれらを渡し、イスに腰掛ける。
彼女の顔半分を覆うガーゼ越しに頬に触れる。火傷に障らないよう、うんと優しく触れる。ガーゼで隠れているが、この下にはきっと痛々しい火傷が広がっているのだろう。俺の痛む心より、の心と身体の方が何億倍も痛い。

「私ね、自分の顔あんまり好きじゃなかったの。じいちゃんは……爺馬鹿だからさておき、周りの海兵から言い寄られることもあったから多分見てくれは悪くなかったと思う」
「あんたは綺麗だよ」

そうだよな、モテるよなは。なんて言ったってこんなに綺麗なんだから。

「ふふっよく恥ずかしげもなくそんなこと言えるわね。私の顔、エースと全然似てないでしょ?目つきも全然違うし雀斑だってない。髪だって色も違えば髪質も違う。」
「そ、んなこと…」
「あるよ。全然似てないなってちゃんとわかってる。」

確かにとエースは似てない。が要素を上げる通り、容姿の似ている要素はほとんどない。自分の容姿についてそんなふうに思っていたことは知らなかったが。

「でも今は顔に火傷跡できちゃったから、可愛い弟とお揃い」
「は?」
「だから!サボとお揃い!でしょ」

間抜けな声が出てしまったが、それはが突然俺の目元に触れてきたから。記憶を無くしたあの日に負った火傷痕を、なにかを確かめるように撫でられる。包帯だらけの、豆だらけの温かい手で俺に優しく触れる。の表情は、あの日見た、下手くそな笑顔と一緒だった。
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