第3章 弟の懺悔と初恋
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記憶を取り戻し、エースの死に絶望したとき彼女はどうしているのか心配になった。青剣のが、だとはすぐ気がついた。
新聞で彼女が任務中に事故死したと読んだときはまた目の前が真っ暗になった。しかし、革命軍で医者をしていた男からすぐに連絡が入った。海兵を匿っていると。一番はじめに彼女の元に訪れた部下2人からは確かに青剣のだと確認が取れた。
そしてそれからすぐ、ルフィの報道も入った。オレの兄弟はまだ生きているんだ。
報告は受けていたが実際に会ったの姿に、少なからずショックを受けた。片腕はなくなり、全身包帯だらけで綺麗な顔には大きなガーゼが貼ってあった。凛々しかったが、暗く濁った目で俺を見ていた。
何故自分は生きているのか、自分が醜いと吐露する彼女が酷く愛おしくなった。何年も忘れていた彼女の存在、そしてそれと一緒に淡い恋心も忘れていた。それが今になって「淡い恋心」なんて可愛いもんじゃなくなり、蘇ってきた。
「俺は、あんたが生きててくれて嬉しい。醜いなんて言わないでくれ。俺にとってはどんな時でも、どんな姿をしていたって、綺麗で強くてかっこよかった」
エースに対してどうしてあたりが強いのか、の本心を聞いた日から彼女がずっとキラキラ輝いて見えていた。
俺の言葉に俯いていた顔を上げる。エースと異なる目の形、その瞳から涙がこぼれだす。表情はくしゃり、と歪んで…端的に言えば下手くそな泣き顔だ。泣こうとしているのに、泣くまいと表情筋の何処かが力み、表情が不自然に歪んでいる。
なんだよ、お前笑うのも泣くのも下手くそなのかよ。