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青一点【BSR】

第1章 選抜試験


 小十郎が曖昧に頷き、言葉を繋ぐ。
「死合いというと言い過ぎではあるが… まぁ仲間を殺しちゃしょうがねぇからな。
 だが、骨の2,3本折れるくらいは覚悟しとけ」
 周りは、誰とやりあうのかと見まわす者、脅え慄く者、気が昂ぶらせる者と各々の反応を見せている。雄司はへぇそうなのか面倒だなぁ、と特に何も思わず、棒立ちでいた。
「ちなみに戦うのは政宗様だ」
 小十郎はまたも易々とありえない台詞を吐く。
 おっと、と雄司は思った。
(へぇ、政宗様と戦わせてもらえるのか。それは楽しそうだな…)
 わくわくし始める雄司に対し、まわりは一斉に顔を青ざめさせて硬直している。
(すぐに負けると思うけどさ、政宗様とやらせてもらえるなんてめったにない機会でしょ)
 雄司は肩をすくめ、思い切り他人事でいた。
「じゃあ早速始めるぞ。ちなみに、順番は政宗様が指名する順だから特に決まってねぇぞ、クク」
 その残忍な笑顔に、雄司は小十郎の方が政宗よりむしろ嗜虐的なのではないかと思った。
 そして政宗が早速とばかりに誰から戦うかの品定めを始める。
「んー、始めは… hum、そいつだな、後ろのちっこいの」
 雄司はまわりを見渡し、政宗の指差した方向を確認し、やっと最初に指名されたのが自分だと気付く。そして目を見開いた。
「さっき笑ってやがった所を見ると、腕に自信があるんだろうな?」
「はっ!?」
 まさか自然と笑みが零れてしまっていたとは。
「残念ながら俺は楽しみをとっておくような性格じゃねぇんでな...楽しませてくれよ?」
 それは無理な話だなあ、と直感した。
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