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青一点【BSR】

第1章 選抜試験


「さて...じゃあおめぇら、下がれ」
 なんのことだろうかと思い固まっていると、幾らかの男たちが動き始めた。
 彼らは各々稽古場を出て行き、最終的に残っているのは初めの三分の一程度だった。
 壁が薄くなり、雄司にも政宗と小十郎が見えるようになる。
 雄司を含め、残った全員がさらに戸惑っている中、ついに政宗が口を開く。
「さて、ようこそ我が伊達軍へ...ってところか」
「ん?」
 男たちと雄司は、事態が全くつかめずうろたえるばかりだ。
「わからねぇか?...合格だっつってんだよ」
 は?やら、え?やらの疑問が飛び交う。
 そんな中、一人がうおおおと喜び始め、それが周りに伝播していく。
 雄司も、たったこれだけかと一息ついた。
 しかし、当たり前ともいうべき小さな疑問が聞こえてきた。
「本当か?これ」
 確かにそうなのである。自分たちは何をするでもなく合格してしまったのだ。怪しむのもおかしくはない。
 そして、場内が再び不安にざわついたところで、
「うるせぇ黙れ!」と小十郎が一喝した。
「ここにいる全員、誰かしらに絡まれたろ?」
 お、おう、と誰かが答える。小十郎は頷いた。
「そいつら全員、伊達の奴らだ。受け答えを審査させてもらった結果だな」
 そう言われ、やっと納得が行った。ああ~、という声が重なる。急に絡んできたあれは審査だったのだ。どおりで様子が変だと思った。
「ま、本来仲間にあんなことしちゃあ叱るがな」

「さて…合格といってもこれは仮だ。運動能力は全く見てねえからな。
 ここからがあまりに酷すぎた場合、撤回も有り得る」
「は?」
 それはまだ合格していないというかまだ審査があるという意味ではないのだろうか…雄司は溜息をついた。
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