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青一点【BSR】

第1章 選抜試験


 雄司が入ってきたのとは逆の出入り口から、蒼い男が姿を現した。隣に小十郎を従えていることから、恐らくあれが…欧州筆頭、伊達政宗。
(うわあ、なんて若いんだろう)
 聞くところ、まだ二十にも満たないらしい。見ると、背が男にしては低めである。小十郎と比べれば線も細めだ。
 顔は…よく見えない。だが、黒い眼帯があるのははっきりわかる。そしてすぐに、自分より背の高い男たちの壁に隠れて見えなくなってしまった。
 長く続いた法螺が鳴り止む。男たちも静まり返った。
 頭だけが見え隠れする小十郎が、大きく息を吸った。
「これより、伊達軍募兵のための選抜を行う」
 小十郎の声が響く。肝心の政宗は喋らないのだろうか。
「今回は三百人くれぇ集まってくれたみてーだが…」
 何やら紙を扱う音が聞こえてくる。
「今から名前を呼ぶ奴全員、脱落な」
 すとんと落ちるように淡白な、しかし残酷な台詞。
 場内がざわついた。男たちの動揺も露知らず、小十郎は楽々と脱落者の名前を読み上げていく。呼ばれた者達は、わけもわからずながら悔しそうに稽古場を出て行った。

 五十人ほど読んだだろうか。幸い、雄司の名前は呼ばれずに済んだらしい。
「今呼ばれた奴は、身体が弱すぎる奴と素行が悪すぎる奴だ。いくらここが奔放だってもな、限度ってもんがある」
 未だ会場は疑問の空気に包まれている。
 片倉が不敵に笑った、気がした。

「自分で考えろよ、な?」
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