第2章 初陣の日
「Are you ready guys!?」
『Yeah!!』
「Let's party!! Ya-ha!!」
『Yeahhhhhhhhh!!!!!』
馬が走り出す。
政宗が六爪を抜き、勢いよく門を斬った。
「!?」
成実は壊すわけにはいかないと言っていたのに。政宗は躊躇いなくそれを破壊するのだ。
堅く組まれた木材がいともたやすくばきばきと斬れていく。本来、太い木は刀などで斬れるものではないと思うのだが。
たった幾度かで、門に大きく穴が開いた。雪に反射する光が眩しい。政宗は再びよく聞き取れない言葉を叫び、中に突っ込んだ。
農民が精魂をつぎ込んで作った頑丈な門の向こうには、いかにもか弱くすぐにでも折れてしまいそうな者が佇んでいた。
(!!!)
先程助けたはずの、淡い少女。
少女は驚かない。己を助けた者が誰なのか、ちゃんと解っていたのだろう。まわりの農民の腰が引けているのに対し、少女はきっとこちらを睨みつけてくる。
「よぉ、cuteな大将さんよ。どっかで会ったか?」
「…知らねぇだ。おさむらいなんて、みんな大っ嫌ぇだべ」
「Hum…」
「みんなみんな、おらたちから食いもんさ奪って、おっきい顔してるだけだ。おくにの人よりも力の強さが大事なんだべ」
政宗は動かない。
「だから、おらたち農民が笑える様に、おらさちからでおくにをかえるだ!」
政宗は無言で刀を抜いた。雪の照り返しに銀が光る。そして、それを少女に向けた。
「OK,変えてみろよ。そんなに侍が嫌いなら、俺もこいつらも、全員を殺って見せろ」
you see?と政宗が顎を上げた。少女は少したじろいだが、横にささっていた大槌に手をかけた。
「…もちろん、そのつもりだべ」
政宗が機嫌良さそうに口笛を吹いた。
「いい度胸だ、派手な死合いにしようぜ?」